鹿児島県民の皆さまへのお願い
~新型コロナウイルス感染症について~
 
    
           ◆自分だけは大丈夫と思わないで

 4月16日、安倍首相は、非常事態宣言を出しました。外出を控えてください。県外への移動を控えてください。人との接触を8割に抑えてください。3密は止めてください。
 鹿児島県での感染者はまだ8人ですが、7都道府県では爆発的な感染拡大が起こっています。本県でも、いつそのような状況になってもおかしくありません。
 県民すべてが、普段の生活ができず、ストレスで大変です。よく理解出来ます。しかし、若者の外出は、まだ十分には抑えられていないように思います。20歳から50歳が感染者の約7割を占めています。若者は行動範囲が広く活発です。そのことが大きな感染拡大に繋がります。その事を是非知っておいてください。
 もし、自分の知り合いの人がコロナ感染で亡くなられたら、きっと哀しいはずです。そして、その亡くなった人にうつしたのがあなただとしたら、入院せずに軽度で済んだとしてもどんなに悔やまれることでしょう。不用意に動きまわることは、その可能性を増やしてしまうことになります。今は我慢する時だということを、ぜひ理解してください。出来るだけ冷静に、自分を大切に、そして周囲の人を大切に考えてください。

◆医療機関の受け入れ態勢を維持していくために

 今後本県の感染者数が増加し、重症例が発生した時の受け入れ体制について、週一回開かれる県行政のコロナ対策調整会議において、協議を重ねているところです。具体的には検査体制、診察体制、入院体制についてです。陽性者についてのトリアージ、無症状者、軽症者、中等度者、重症者、重篤患者のいずれかを判断し、隔離先(施設、ホテル)や入院先の病院を決定します。
 通常の心筋梗塞や脳梗塞やがんなどの患者さんについても、いつものように対応し、今までと同じように、医療は維持しなければなりません。患者数が急激に増えベッド数が不足したり、医療従事者が疲労困憊して医療崩壊状態になってしまっては大変です。このような事態にならない為にも、コロナ感染者の増加を、少しでも緩やかなカーブにしなければなりません。そのために、最低5月6日までは、「うつらない、うつさない」の心で行動変容をお願いします。

◆医療機関への偏見や差別

 今この時も医療関係者は、コロナ感染の恐怖の中で戦っています。戦っている医療機関の医師や看護師や事務職員にも、子どもや孫、そして親がいます。その愛する人たちに、うつすかもしれないという恐怖の内で、それでも自分が医療職であるという使命感をもって戦っています。さらに自分の子どもが、バイキンと言われ、いじめにあうかもしれないという、恐れとも戦っているのです。
 市中の診療所ならば、医師自身が罹ったら、当然一定期間休診にするばかりでなく、診療所のすべてのスタッフやその家族の心配もしなければなりません。そして、自分の家族そのものに危害が及ぶことになります。
 知ってください。わかってください。感染が拡大すれば、誰もが感染者になります。そのとき、偏見や差別を受けたらどんな思いをするでしょうか。一人ひとりがよく考え、不確かな情報に惑わされないでください。人を決して傷つけないように、正しい情報に基づいた冷静な行動をするようにしてほしいのです。まして、地域の医療機関の活動が差別意識で妨げられるようなことは、決してあってはならないことでしょう。

◆心を一つに戦いましょう

 今もつらい治療と闘っている患者さんがいます。いっときも早く良くなって、退院していただきたいと思います。我々のできることは、安易に外出したり、密閉、密集、密接をしないことです。あなたの行動が、新らしい患者さんを作ってしまうかもしれません。
 もしこの夏にウイルスに打ち勝つことができれば、夏の青空にエネルギーに満ち満ちた入道雲を希望を持って仰ぎ見ることができるでしょう。
 私達医療従事者も、コロナウイルスと戦ってまいります。毎日の診療にストレスも感じますが、乗り越えていきたいと思います。
 県民の皆様にお願いです。我慢と闘って、この窮地を乗り越えて下さい。戦いは、長くてつらいと思いますが、みんなで心を一つにチェストの精神で頑張って参りましょう。