2024.3.16 第1089回放送分『子どもの食物アレルギー』3回目 ゲスト:吉川英樹ドクター


二見いすず: 今月のドクタートークは「子どもの食物アレルギー」をテーマにお送りいたします。
お話は、鹿児島県医師会の吉川英樹(よしかわ ひでき)ドクターです。
吉川さん、どうぞよろしくお願いいたします。

吉川英樹Dr.: よろしくお願いいたします。

二見いすず: 先週は、アレルギーになりやすい体質の子どもが、成長するにつれて、さまざまなアレルギー疾患に順番にかかっていくアレルギーマーチのお話と、子どもの食物アレルギーの予防についてお話しいただきました。
昔は、「アレルギーになるものは食べない、除去する」という予防の仕方だったのが、10年ほど前から変わり、今は、「早くから食べたほうがアレルギーになりにくい」という予防法になってきたとのことでした。
今日は何についてお話しいただけますか。

吉川英樹Dr.: 今日は、食物アレルギーになってしまった場合、子どもの食物アレルギーは治るかどうかについてお伝えします。
まず、食物アレルギーのタイプとしては、即時型が多いです。

二見いすず: 即時型というのは、その字の通り、すぐにアレルギー症状が出るという意味でしょうか?

吉川英樹Dr.: おっしゃるとおりです。
2時間以内が多く、蕁麻疹やアナフィラキシーなどの症状が出ます。

二見いすず: これは、食べ物によって治りやすい、治りにくいというのがあるのでしょうか?

吉川英樹Dr.: あります。卵、牛乳、小麦は治りやすいです。
一方、治りにくいのが、ピーナッツや木の実類、甲殻類、魚卵です。

二見いすず: 卵、牛乳、小麦は治りやすいとのことですが、治りにくい食べ物と比べて、食べる機会が多いのでそこは少し安心できますね。

吉川英樹Dr.: そうですね。ピーナッツや木の実類、甲殻類、魚卵などはどちらかというと嗜好品に近い感じもあるので、食べられなくても困る場面は、少ないかもしれません。
ただし、最近は木の実類のアレルギーが増えてきており、小麦を抜いて第3位になっています。

二見いすず: 第3位が木の実類なんですね。
ちなみに1番多いのは何でしょうか?

吉川英樹Dr.: 1番多いのは卵、そしてその次が牛乳です。

二見いすず: 治りやすいという卵、牛乳、小麦ですが、どのくらいの確率で治るのでしょうか?

吉川英樹Dr.: 3歳までには半数の子どもが治ります。
卵に関しては、小学校までに8割治ります。

二見いすず: 逆に治らない場合は、どのようなケースが多いのでしょうか?

吉川英樹Dr.: アトピー性皮膚炎のコントロールが悪いお子さんや、喘息のコントロールが悪いお子さん、また、アナフィラキシーになったことがあったり、血液検査でIgEというアレルギーの抗体の値が高かったりすると治りにくいです。

二見いすず:  よく分かりました。
今月は「子どもの食物アレルギー」についてお伝えしています。
お話は鹿児島県医師会の吉川英樹ドクターでした。
吉川さん、ありがとうございました。

吉川英樹Dr.:  ありがとうございました。